本校がこの谷田部の地で教育を始めたのは、昭和2年です。町立の筑波実修学校として農村子弟への農業教育を目的として開校しました。学制改革の際に、茨城県立谷田部高等学校へと改称しました。まもなく創基100年を迎えます。本日まで幾多の試練を乗り越えながら、多くの有為な卒業生を世に送り出してまいりました。本館前に天高くそびえる「ヒマラヤスギ」が歴史と伝統を見守ってくれました。

工業系学科への改編が完成したのは平成7年度のことです。明確な将来像を示すため、教育目標を「豊かな人間性と科学する心をそだてる」とし、現在に至ります。この教育目標には、一個の人間として他を思いやる心は何にも増して大切であり、また将来多くの卒業生がものづくりに携わることを想定し、いつでもどこにいても科学する心をもちつづけてこそ発明・発見に至るという意味があります。改編完成の当時、大学への進学推進も大きな課題だったと聞いております。知識や技術のほかに自己を表現する能力の育成を行い、大学進学に臨もうと考えられました。このような状況の中、校名変更の手続きに入り、未来志向と教育目標の具現化にふさわしい校名として「つくば工科高等学校」が誕生しました。平成9年のことです。「工科高校」としたのは、全国初の校名であり、その後、全国に多くの工科高校が誕生しました。先見の明があったと言って過言ではありません。その後平成26年に学科改編が行われ、機械科、ロボット工学科、電気電子科、建築技術科の4学科体制が確立されました。

このつくば工科高等学校も令和7年3月1日をもって、その歴史の幕を閉じました。しかし、その伝統は決して途切れることなく、つくばサイエンス高等学校へと受け継がれます。さらに、これまでつくば工科高等学校を支えてくださった地域の方々、目の前にいる卒業生のみなさん、そして不動会の皆さまの母校に対する思い、生徒のために日々の教育活動に取り組んできた歴代の教職員の皆さまの思いを受け止め、これまで引き継がれてきた校歌および校章をつくばサイエンス高等学校が大切に守っていきます。

本校のシンボルツリーの「ヒマラヤスギ」は、これからも、この地で学ぶ者たちを引き続き見守っていきます。不動会の皆さま、地域の皆さまにも、引き続きつくばサイエンス高等学校への変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げます。


継承式式辞より